水産物貿易を巡る国際状況



○世界の水産物貿易概要

 1997年の世界の水産物貿易量は約4600万トンであり、総漁獲量1.2億トンの約4割を占めている。
 世界の水産物輸入については、日本、EU、米国の3大輸入国で、世界の貿易金額の約75%を輸入している。
なかでも日本は世界最大の水産物輸入国であり、世界全体の貿易金額の約3割を輸入している。
 世界の水産物輸出については、特定の国に集中せず広く分散し、多くの国が純輸出国となっている。水産物輸出の第1位はノルウエーで、中国、米国がこれに続いている。
 日本の水産物国別輸入状況については、中国、米国、ロシア、韓国、タイからの輸入額が多い。品目別輸入状況については、えび、まぐろ・かじき類、さけ・ます類が輸入水産物の上位3品目であり、これにかに、うなぎ調整品が続いている。
水産物輸入の増大に伴って、我が国の魚介類自給率は低下傾向にあり、98年は自給率57%となっている。日本の水産物輸出状況については、以前は缶詰等を輸出する世界有数の水産物輸出国であったが、近年はこれら加工品の輸出が減少した結果、低調に推移している。

○WTOの役割と現在の状況

 WTOは、ガット・ウルグアイラウンドの交渉の結果設立され、現在約140の国が加盟する国際機関として世界の貿易に関する様々な国際ルールの実施及び新たな貿易課題への取組みを行い、多角的貿易体制の中核を担っている。
昨年11月のシアトル会議で新ラウンドの立ち上げが失敗した後、農業交渉等一部の分野については新たな交渉が始まっているものの、水産物を含む多くの分野では現在交渉が開始されていない状態である。
次期ラウンドがいつはじまるかについては未だ決まってはいないが、早くとも来年春以降になるだろうという予測が大勢を占めている状況である。
次期交渉が再開されれば、前回のウルグアイラウンド終了の際に決められて既に交渉が始まっている農産物、サービスの自由化交渉につづいて、水産物についても自由化交渉の主要議題として取り上げられることは不可避と思われる。

○次期交渉前の自由化推進国の動きと日本の対応

 ニュージーランド、豪州、アメリカ等の自由化推進国は、APEC,OECD等の国際会議の場において、水産物等を関税引き下げ・撤廃優先品目として、他に先駆けて関税引き下げ・撤廃を早期に実施するよう画策している。
 このような動きに対し、我が国は、適正な管理を行わなければ枯渇する再生可能な有限天然資源である水産物については、包括ラウンドの一環として、地球的規模の環境問題や資源の持続的利用の観点を踏まえて交渉を行うことが必要であり、単に輸入国の関税・非関税措置といった市場アクセスの改善の視点から議論すべきではないと主張し、一方的な関税撤廃の動きを阻止するよう努めているところである。

○漁業補助金を巡る動きと我が国の主張

 昨年7月、WTO貿易と環境委員会においてアイスランド、ニュージーランド、豪州、アメリカ等7カ国から、世界の主要水産資源の多くが過剰漁獲状態にあるのは、入漁補助金、漁船建造補助金及び輸出補助金等の市場歪曲的な漁業補助金が原因であり、このような漁業補助金は撤廃すべしという内容の共同ポジションペーパーをWTOに提出した。
これに対し、我が国は、漁業補助金問題の本質は、資源の持続的利用をどのように確保していくかということであると考えており、漁業補助金だけに過度の焦点を当てるのではなく、まず、資源の持続的利用を阻害する全ての要因を抜き出し、対策を検討すべきである。
また、漁業補助金の中には過剰漁獲能力の削減、資源管理の推進、資源の保護・育成等に有効な機能を果たすものもあり、このような漁業補助金の意義は積極的に評価すべきと主張している。
また、このような専門的な作業は、漁業管理に深い知見を有するFAOにおいて資源の持続的利用を阻害する全ての要因を抜き出し、対策を検討する一環として、WTOにおける漁業補助金についての取り扱いを検討していく必要があると主張しているところである。
 

○適切な資源管理に資する貿易ルールの確立を目指して

 水産物は、適切な管理を行わなければ枯渇する再生可能な有限天然資源であるが、現在、世界の水産資源の多くが過剰に漁獲されている状況にある。
また、世界の生産量の約4割が国際貿易の対象となっていることから、水産物貿易については、持続的利用のための保存管理措置を保管・強化する貿易ルールが必要である。
また、同時に全ての生態系のレベルをバランスよく利用しながら、各国が自国水域、自国漁業を適切に管理する義務を果たしつつ、自国生産を基本に国民に対し水産物の安定供給を確保していく必要がある。
さらに、地域社会の維持、沿岸域の管理・環境保全への貢献、国民への余暇活動機会の提供等、漁業・漁村の持つ役割・機能にも十分配慮すべきである。
 このような日本の主張が反映されるためには、漁業関係者を含めた幅広い国民の理解と支援が必要である。
   

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