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山地酪農(やまちらくのう)の話


 酪農と言えば広大な牧草地で草を食べる乳牛というのが世間の一般的なイメージですが、日本では広大な土地に恵まれた北海道あたりならともかく、なかなかそうした場所があるものではないですね。
 そんな中、山地酪農(やまちらくのう)というものが注目を集めています。

 山地酪農とは、傾斜が強く木の生い茂った山林を牛の助力によって切り開くという考えにもとづく酪農のやり方です。
 山地が国土の大部分を占める日本の土地条件にかなった酪農の形として近年脚光を浴びつつあります。

 その方法はどんなものかと言いますと、雑木や笹などが生い茂る山地を切り開き、日本在来のシバを植えてそこに牛を放します。
 牛は最初に刈り取られた笹や雑草の芽を食べ、やがて成長してきたシバを食べ始めます。牛は草を根こそぎ食べませんから、シバは常にきれいに刈り取られた状態で保たれ、さらに牛の糞を栄養として育ち、牛が踏み固めた斜面に広がっていきます。人が登るのに苦労するような急な坂も牛はものともせず分け入っていき、やがて雑草や藪に覆われていた荒れた山が美しい草地へと姿を変えていくのです。

 牛が常に雑草やシバを食べてくれるおかげで労力もかからず、農薬なども使わずに山を開墾することができるのです。

 山地酪農の牛たちは、ふもとの牛舎で穀物を中心に与えられ飼われている牛たちと違い、草を中心とした食生活をしていますので、乳の出は余り良くありません。
 しかし、いわば有機農法で育てられた草だけを食べているわけで、その乳は究極のオーガニック牛乳ということで、安全安心を重視する消費者の人気を集めています。

 また、牛たちによって開かれた美しい草地は、人々の憩いの場として地域で活用されるなどその良さが周囲にも理解されつつあります。

 現在は、北海道旭川市、岩手県田野畑村、高知県南国市などの先駆的な取組みをはじめ、山地酪農の輪は全国に広がってきています。

 あなたの近所にある何の変哲もない里山が緑の草地に変わることがあるかもしれません。




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