農業の国際化が言われてかなり時間が経ちますが、最近になって「エシカル」という言葉をよく耳にするようになりました。農業を含む産業分野ではエコという言葉はすっかり定着したと思うのですが、エシカルは、地球の環境や人権を含む社会的な影響を包含した概念のようです。先日の報道でも、新国立競技場の建築現場で使われているコンクリート枠が供給現地の森林の環境破壊をもたらしているとの報道がありました。これもエシカルな観点からの指摘ではないでしょうか。このほかにも、筆者は綿花栽培の例を取り上げ、子供のころから教育の機会がなかった文字の読めない人々を生産に従事させたがために、農薬を必要以上に散布してしまうなどの事例や、そのようなことを知りつつ農産物を輸入する側にも問題あり、ということになります。
 一方で、SDGsということも言われています。「持続可能な開発目標」といわれますが、いずれにしても国際化時代の中で、いろいろなことに目配りし配慮しないと、あらぬところから指摘されるという時代になったということなのではないでしょうか。オリンピック・パラリンピックで提供される食品のグローバルギャップの認証にも関心が向きつつあるのですが、筆者は第1次産業こそこのような動きや改善には一番大きく貢献できるのではないかと指摘しています。地球環境や人権をこれ以上悪化させないためにも、日本農業からの取り組みが必要といいます。

 詳しくは日本政策金融公庫農林水産事業本部の機関誌「AFCフォーラム」1月号をご覧ください。