「JATAFFジャーナル」Vol15 No.12では「特集 超高齢社会における新たな食品の開発」と題する特集が組まれていて、その中の「高齢者の低栄養と食生活の改善」によりますと、わが国の高齢者(70歳以上)の2〜3割に低栄養状態が見られるということです。
肥満が問題とされてきた中でどうしてだろうという疑問が生まれました。
そもそも低栄養となる要因は、著者の分析によれば、普段の食事量が少なく小食であり、栄養密度の低い食事(粗食)にあるといいます。対して、健康で長寿といわれる人たちの食事傾向は、血液中のアルブミンやコレステロール値が高く栄養状態が良い、歩く速度が速く握力が強いなどの体力があり、仕事などの何らかの社会活動を行っている、といった傾向であるといいます。
 これを著者は健康長寿原則と名付けています。この高齢者の健康長寿を測る指標はBMI(体格指数)などいくつかあるようですが、生活習慣、心理、体力が関係しているといいます。
また、介護の現場では口腔、嚥下障害があると低栄養が発現しやすいともいわれており、低栄養になる要因を少しでも減らすことが重要といいます。高齢期は太りすぎ・メタボを気にするより様々な食品からまんべんなく栄養素をとり、さらに、運動して元気な体つくりを心掛けることが大事といいます。
また、社会的な支援条件整備も必要で、制度や環境面の対策、たとえば、買い物への補助、調理能力の低下に伴う補助、孤食をできるだけ避けて、楽しい食事や品数の多い食事なども整えていくことが対策として必要ということです。このためには自治体やボランテアなどの支援を通じての会食の機会増加も効果が大きいということです。

 詳しくは公益社団法人 農林水産・食品産業技術振興協会の機関誌「JATAFFジャーナル」Vol15 No.12本文をどうぞご覧ください。