就農者の高齢化は着実に進んでおり、担い手の確保が喫緊の課題となっています。若い人たちが農業経営・技術を習得するには、多くは年長者の経験則に基づいた技術を弟子入り的に勉強していくというのが現状ですが、それをICTやロボット化して、早期に次世代に移植する必要があります。
 農業機械メーカーも数々のパソコンアプリケーションを開発してきています。それを総合化して、いわゆるスマート農業に結びつけることが求められます。例えば、稲作ではトラクターによるGPSを利用した無人の耕起作業や最も難しいとされている水管理をデータ化してスマートホンなどで行うことができるようにすること、酪農では毎日の重労働である搾乳作業をロボット化していく等々、すでに開発されたものや実用化しているものもあります。
 本レポートは農業機械を主体に、開発の現状を報告していますが、今後の方向として、AI(人工頭脳)を活用してビッグデータの解析によるマーケットイン型(市場動向に応じた)営農への活用や対応などが必要で、まだまだ多くの情報の集積や活用が求められるとしており、農作業の無人化などの省力・自動化の開発はもちろんのこと、篤農家のもつ知識のデータ化、病気や疾病の早期発見などのデータ蓄積と対応体制の構築が必要と述べています。特に篤農家の知識の蓄積は高齢化が進む中で急がなければならないのではないでしょうか。
 担い手の確保が待ったなしの状況になっている現在、示唆するところがおおきいと思われます。

 くわしくは公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会の機関誌「JATAFFジャーナル」2017年No10をご覧ください。