JC総研レポート2017年秋号では「農業問題と地域社会 研究ノート
増加する低所得層と日本農業―日本農業は誰に向かって生産するのか―C」
と題する日本大学生物資源科学部准教授の友田滋夫先生の論文は長い研究報告の一部になるのだと思いますが、非常に今日的テーマについてのレポートです。富裕層と貧困層の両極化が世界的にも進む中で、我が国でも高齢化に伴って進化するのではないでしょうか。
本レポートの前半では、介護保険法成立以降の「介護・予防・生活支援」とこれに関連する施策の変遷について触れ、これまで国のとってきた高齢者や低所得層に対する配食サービス・介護制度の変遷と概要を報告しています。
 この流れは、事業実施主体の地方自治体・地域への移管とともに「介護予防」の考え方の導入といった基本的な考え方の転換と同時に自己負担の増加がすすんだと分析しています。配食についても地元の自治体に移管された結果、民間化し費用負担は地元の一般弁当・宅配弁当と大差のないものになってきているといいます。
 そこで農業と関連する配食サービスについてですが、食の外部化を経験した高齢者は「受益者負担」がふえていくなかでも内食には戻らないとし、むしろ配食の利用が高齢者世帯の標準行動となっていくとしています。そこではまだ伸びしろはあるということですが、配食サービスの今後ということになると、いくつかの研究機関の今後予測を引用して、団塊世代が後期高齢者となる2025年ころまでは高付加価値化した配食が求められるが、それ以降の世代が高齢者となる2033年ころからは不況などの影響をうけた低年金者が増えていき、男女とも単身世帯の増加とともに所得は低下していき、むしろ、加齢によって調理ができなくなった高齢者対策が必要になり、「公助」「共助」「自助」をどう組み合わせていくかが求められてくるのではないかといいます。

 くわしくはJC総研レポート2017年秋号をご覧ください。