「畜産コンサルタント」誌の6月号では「特産品とのマリアージュを追求―地域の特産品から分離した菌を利用したチーズ生産― 高橋 雄幸」という記事がありますが、我が国のチーズづくりの大半は、輸入した乳酸菌や酵母を使い、しかも生乳は殺菌して使っており、これはこれで、ヨーロッパなどで育まれた長い歴史の中で伝統があるものです。
しかし、栃木県那須高原今牧場チーズ工房では地元のワインから抽出した乳酸菌や酵母を使ってテロワール・チーズを作って「那須にしかないもの」を目指しているといいます。
 地域独特の風味をもったチーズ作りは酪農家の夢でしょうが、クリアすべき壁は多くあり、もちろん食品つくりですから衛生的な条件はきちんとクリアしなければならないし、安定した品質を生み出すのは並大抵な苦労ではないはずです。我が国のような高温多湿の気候条件の中では菌の管理自体が大変なことは想像に難くありません。高橋さんのモットーは「熱意は磁石」といいます。テロワール・チーズ作りに向けて、地元の仲間たちと手を組んで頑張りを期待したいと思います。

[テロワール:フランス語で土地の意。ブドウの品質は土地土地によってワインの出来が違うこともいうようです。]

詳しくは中央畜産会の発行する「畜産コンサルタント」誌6月号をご覧ください。