今回の「AFC Forum(フォーラム)」では「農業インフラを思索する」と題した特集が組まれていますが、その項目は「担い手育成も観点にインフラ整備と保全」「水田の大区画化と汎用性による農業活力」「独自の基盤整備と独自の経営を展開」というもので、研究者、行政、現場からの文で構成されています。これも興味深いところですが、現地リポートの「農と食の邂逅」もなかなか興味深い記事でしたので、ここに紹介させていただきます。
今回のリポートの対象は島根県隠岐郡隠岐の島町の「有限会社アグリおき」の遠藤亜希さん、遠藤理佳さん姉妹です。
 お二人のご両親は土木業のかたわら数頭の牛を飼っていましたが、公共事業の減少に伴って畜産の比重を高め、徐々に頭数を増やしていましたが、兼業の為充分な管理が出来ない状態でした。そんなとき島外で看護師をしていた理佳さんが家にもどり手伝っているうちに牛飼いにのめり込み、本格的に経営を勉強しようとしていました。そしてそんな妹の姿を見て心を動かされた姉の亜希さんは農と食をつなぐ仕事に興味をもち、「ファームレストラン」を勉強しようとフランスへ留学しました。その後、二人で経営をするようになり現在では4箇所の牧場で48頭の牛を育てています。
 当初「自給飼料率」をあげるために地元の稲作農家からコメを調達し、大きな釜で炊いて濃厚飼料に混ぜて与えていたこともありましたが、今ではWCS(稲発酵飼料)も作り、粗飼料の完全自給をめざしているとのことです。
2年前待望のファームレストラン「ラ・シガル・カフェ」をオープン。
 あくまでも牛飼いを中心としながらもそのレストランで繁殖に使われていた母牛を飼い直し、その肉を地元の人たちを中心とするお客様に提供しています。夢を実現しつつある二人の影響は少しづつ広がっており島内にはほかにも畜産に取り組む女性経営者が出てきています。

 牛飼いに取り組む隠岐の島町の「有限会社アグリおき」の遠藤亜希さん、遠藤理佳さん姉妹の詳しいことは(独)日本政策金融公庫 農林水産事業本部の発行する「AFC Forum(フォーラム)」2015年10月号をご覧ください。