2017年10月16日 Vol 324

提 供  日本漁船保険組合

■□■□━━━━━━━━「海外漁業情報」━━━━━━━━■□■□

「海外漁業情報」では、海外で操業される漁業者の皆さんへ、操業上の注意事項や
国際会議の結果等をお知らせしています。

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中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第13回北小委員会の結果について

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去る8月28日から9月1日まで釜山(韓国)において、中西部太平洋まぐろ類委員会

(WCPFC)第13回北小委員会が開催されました。

また、昨年に引き続き、太平洋全域における太平洋クロマグロの効果的な取組を

目指して、WCPFC北小委員会とIATTC(全米熱帯まぐろ類委員会)の

合同作業部会が北小委員会に併せて実施されました。

WCPFCは、中西部太平洋における高度回遊性魚類(マグロ、カツオ、カジキ類)

資源の長期的な保存及び持続可能な利用を目的とした委員会です。

北小委員会は、主に北緯20度以北の水域に分布する太平洋クロマグロ、

北太平洋ビンナガ、北太平洋メカジキなどの資源管理措置について

本委員会に勧告を行うWCPFCの下部組織です。

会合には日本、韓国、米国、カナダ、クック諸島、フィジー、フィリピン、台湾が

メンバーとして、IATTCメンバーであるEU及びメキシコ、また太平洋島嶼国や

NGO等がオブザーバーとして参加しました。

我国からは太田水産庁資源管理部審議官、宮原農林水産省顧問(北小委員会議長)他、

水産庁、外務省、経済産業省、国立研究開発法人 水産研究・教育機構及び業界の

関係者が出席しました。

主な会合結果は以下のとおりです。

1.太平洋クロマグロ

本件については合同作業部会で行われた議論の結果が北小委員会で承認されました。

項目毎の議論の結果は以下のとおりです。

(1)次期回復目標(親魚資源量を歴史的中間値まで回復させた後の次の目標)

現在の目標である「暫定回復目標」(*1)を達成した後、10年以内に60%以上の

確率で「初期資源量(*2の20%(約13万トン)」まで資源を回復させること

となりました。

(*1)暫定回復目標とは、親魚資源量を2024年までに少なくとも60%の確率で

歴史的中間値(約4万1千トン)まで回復させること

(*2)初期資源量とは、資源評価上の仮定を用いて、漁業がない場合に資源が

理論上どこまで増えるのかを推定した数字であり、かつてそれだけの資源があった

ということを意味するものではありません。

(2)長期管理方策の検討

@漁獲制御ルール(資源変動に応じて管理措置を自動的に改訂するルール)

資源評価の結果、「暫定回復目標」の達成確率が

(A)60%を下回った場合、60%に戻るよう管理措置を強化することとなりました。

(B)75%を上回った場合、(a)「暫定回復目標」の70%以上を維持、

かつ(b)「次期回復目標」の60%以上を維持する範囲で増枠の検討が可能となる。

A管理基準値

「目標管理基準値(長期的に維持すべき資源の水準)」及び

「限界管理基準値(資源量がこれ以下となった場合、管理措置を強化する水準)」

について、2018年より議論を開始することとなりました。

(3)緊急措置(加入の著しい低下が起こった際に緊急的にとられる措置)の作成

@2020年まで、資源評価の頻度を2年毎から毎年に変更することとなりました。

A上記「漁獲制御ルール」を適用することで、迅速な管理措置の改訂により

対応できるようになりました。

※2018年の措置は、現行措置と同じく、以下のとおりとなります。

(ア)親魚資源量を2024年までに、少なくとも60%の確率で歴史的中間値

(約4万1千トン)まで回復させることを「暫定回復目標」とする。

(イ)30kg未満の小型魚の漁獲量を2002年から2004年までの平均水準から

半減する(我が国は4,007トン)

(ウ)30kg以上の大型魚の漁獲量を2002年から2004年までの平均水準から

増加させない(我が国は4,882トン)

2.北太平洋ビンナガ・北太平洋メカジキ

北太平洋ビンナガや北太平洋メカジキの保存管理措置については、

具体的な議論は行われず、北太平洋ビンナガについては現行の保存管理措置が

維持されることとなりました。(北太平洋メカジキは保存管理措置なし)

3.その他

2018年の北小委員会は、日本で開催されることが決定されました。

                             水産庁国際課
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